2023年4月29日
参加者14名
2023年4月29日の第35回こあじろの森くらぶの交流会で俳句をやってみようということになり、当日の企画の担当になった。決まったのは3月26日のスタッフ会議の席。さあ、この森で俳句吟行しているグループに出会ったことはあったが自分が句作をしながら森を歩いたことは無い。「ありがとうございます。」と言われてビックリした経験があるが、それは俳句吟行していた方が森案内する筆者の姿を17文字の中に入れ込んで句作をし、それが神奈川新聞の文芸欄で採用された。ということを伺ったことである。だが、句作を中心に森をあるいたことはない。だが、迷句造りと称して、参加の皆さんに森の自然のなかで気がついた言葉を5文字、7文字、で短冊に書いて貰う。それを集めて目をつぶってランダムに上の句、中の句、下の句として、5,7,5として並べてみる。それがうまくこの時季にあってできたか、できなかったかを楽しむのだ。大笑いだったりしんみりしたり、できた迷句が名句として成功したときは短い詩としての俳句があることに感謝したものだった。言葉と自然との融合の妙味の世界にしばし、浸って面白がっていたのだ。ここで、その一句が紹介できないのが残念だ。
ところが今回はふつうの俳句を作ろうと言うことなのだ。コロナ禍も明けてじっくり森に浸って歩こうという狙いもあって、俳句を作ろうということなのだ。さて、真面目な俳句作りなど、この森ではやったことがない。以前に俳句や短歌を入れた文章も書かせてもらったが、学校の国語の授業で有名な作者の俳句や短歌を鑑賞した経験だけで、ほとんどのみなさんと一緒だ。ただ、5と7とを並べたり組み合わせたりして思いを入れ込んだ経験があるだけだ。困った筆者が思い出したのは偶然同じ電車に乗り合わせた後輩の高橋まき子さんだ。句会の帰りだという彼女さんにお願いしてみよう!こんなことで、今回の講師の先生にお願いできたのだ。ひとまず、ほっと。
後はできた俳句をそれぞれ、どうやって持ち帰っていただくかを考えた。せっかく作った俳句を表現する方法は書しかない。書と言えば、我が会のスタッフのNさんは名手とも言える能筆家だ。Nさんに書いて貰い、できた俳句を鑑賞するという場面が脳裏に浮かんだ。そういえば働いているとき、書き初めなどを台紙に貼ってから張り出すと文字が綺麗に見える。赤い落款があれば、もっと文字が映える。と画用紙に貼る作業、消しゴムで名前を彫刻刀で彫り、名前の側に押す。児童に一連の作業を教えて作業したことがある。これだ!今回は落款を同じく消しゴムで「令和五年」ひらがなで「こあじろ」余った一つは、兎年なので、兎のような顔を彫って使って貰うことにした。本当は一人一人の名前を彫れば良いのだが時間がない。みんな同じ判でもよい。時と場所が入るから。と自分を納得させる。
半紙を台紙に糊貼りする技は久しぶりなので、練習の必要があり。Nさん家を訪ねて練習させて貰った。本格的な表装の技術ではなく、誰でもできる技として本格的表装の本を読んで筆者が考えたものだ。当日の場面が何度も夢に出てきていて重く考えて居ることが自分にも分る。
さて、当日、早く行かなくてはといつもより30分も早く家を出た。MTさんと集合時刻10分前に駅で会う約束をしたのに、三浦縦貫道から車がつながっている。こんなことは初めてだ。時間がドンドン経つ。20分遅れで、三崎口駅に到着。受付のスタッフはいてもMTさんの姿はない。スマホの調子が悪く持ってきていない。どうしよう!車を停めて構内をうろうろ!スタッフのMさんが先に集合の水道広場に行ったスタッフに聞いてくれて、MTさんが広場に既に到着していることを教えて貰った。やったー!大丈夫だ。早く行かなくては。駅前から出るときに少しのトラブルはあったが水道広場で、何とか全員揃うことができた。
MTさんは初夏の季語を印刷した小片を渡してくれた。「木の花は夏の季語なのよ。」
講師紹介をして、下書き用にメモパットを複数配って貰う。水休憩がヤナギテラス、エノキ広場を通過して、トイレをとおり、ペルルカフェで昼食の予定を説明する。MTさんには随時声を出して戴くことに。最後に一枚か複数枚を提出していただくことを話す。 若芽若葉に溢れた森の中はよい空気に包まれ、アサヒナカワトンボ、ヤマサナエ、越冬昆虫のツチイナゴ、ジャヤナギにヤナギルリハムシ、生まれたばかりのタンザワフキバッタは蕗の葉の上に。ミズキは花を咲かせ、ヤマツツジが華やかに崖地を飾る。ウラシマソウはもう花が終わり、メス株は花のなかにミドリの種をトウモロコシのようにならんでつけている。時々、小さいオス株を見つけ、ウラシマソウの性転換を教えて貰ったときのことを思い出す。オスの花の下の方から昆虫が足に花粉をつけて外へ抜け出て、メス株の中にはいるとの話は面白い。マルバウツギは白い花をつけ、枝全体が白く見え波のように見える。ハンノキの側に1日花をつけるキショウブが沢山の蕾を上に向けつけていた。ウグイスが、歩く私たちにBGMのように絶えず声を響かせてくれている。 ドドッツと大きな音がして山の上の方から根っこごと、崩落した木の塊が見えた。通路側の出来事でなくてほっとした。 ヤナギテラスを過ぎ、アシの生い茂る湿地の中にはクレソンが白い花をつけていた。タコノアシを確かめに戻った場面も。エノキテラスではNPOのビブスをつけた方が、どうしてホタルの時期に夜間解放がないのかと訪れたかたに聞かれていた。筆者もききたいところだ。ハマダイコンの盛りは過ぎて小さい実がついている。ほんの少し、口に入れると爽やかな苦さ。うん!大根だ! ペルルカフェではNさんと娘のMさんが既に待っていてくれた。それぞれ一枚か複数選んで貰い、Nさんに半紙で書いて貰い、台紙に糊と刷毛ではっていく。台紙と半紙のセットを参加者のSさんが手伝って下さる。半紙を裏返して台紙に糊を刷毛でつける。半紙をピンと張ってから刷毛で半紙の上からなぞっていく。しわにならないようにするのがプロの仕事。できたところで、令和五年とこあじろと兎の消しゴム判を会員のTさんが押してくれる。窓に綺麗に貼っていってくれている人がいる。特にお願いしなくてもやったら良いと言うことに体が自然に動く仲間は自慢してよい。途中で、お昼食べて下さいと表装の作業を交代してくれたスタッフにお願いして、全員の分が終了。できあがった俳句について、少し気がついたことを言い、恒例の感想を録音して終了。台紙に貼った俳句は家でのよい話の材料になるに違いない。そうはならなくてもきっと家でかざってくれるに違いない。その姿を想像すると企画が成功したのではないかと嬉しさがこみ上げてくる。 参加の皆さん、書を書いて下さったNさん、遅れた筆者にもかかわらず、皆さんに俳句の話をして下さったMTさん、良い天気で良い姿を見せてくれたこあじろの森へ感謝です。 天気や台紙貼りの作業で使わせて頂いた小パール隊の出口さんにも感謝です。 2023.5.4 記:宮本美織 書:仲澤イネ子 写真:T.Ishizuka、浪本晴美、Mari 2023年4月29日の第35回こあじろの森くらぶの交流会で俳句をやってみようということになり、当日の企画の担当になった。決まったのは3月26日のスタッフ会議の席。さあ、この森で俳句吟行しているグループに出会ったことはあったが自分が句作をしながら森を歩いたことは無い。「ありがとうございます。」と言われてビックリした経験があるが、それは俳句吟行していた方が森案内する筆者の姿を17文字の中に入れ込んで句作をし、それが神奈川新聞の文芸欄で採用された。ということを伺ったことである。だが、句作を中心に森をあるいたことはない。だが、迷句造りと称して、参加の皆さんに森の自然のなかで気がついた言葉を5文字、7文字、で短冊に書いて貰う。それを集めて目をつぶってランダムに上の句、中の句、下の句として、5,7,5として並べてみる。それがうまくこの時季にあってできたか、できなかったかを楽しむのだ。大笑いだったりしんみりしたり、できた迷句が名句として成功したときは短い詩としての俳句があることに感謝したものだった。言葉と自然との融合の妙味の世界にしばし、浸って面白がっていたのだ。ここで、その一句が紹介できないのが残念だ。 ところが今回はふつうの俳句を作ろうと言うことなのだ。コロナ禍も明けてじっくり森に浸って歩こうという狙いもあって、俳句を作ろうということなのだ。さて、真面目な俳句作りなど、この森ではやったことがない。以前に俳句や短歌を入れた文章も書かせてもらったが、学校の国語の授業で有名な作者の俳句や短歌を鑑賞した経験だけで、ほとんどのみなさんと一緒だ。ただ、5と7とを並べたり組み合わせたりして思いを入れ込んだ経験があるだけだ。困った筆者が思い出したのは偶然同じ電車に乗り合わせた後輩の高橋まき子さんだ。句会の帰りだというMTさんにお願いしてみよう!こんなことで、今回の講師の先生にお願いできたのだ。ひとまず、ほっと。 後はできた俳句をそれぞれ、どうやって持ち帰っていただくかを考えた。せっかく作った俳句を表現する方法は書しかない。書と言えば、我が会のスタッフのNさんは名手とも言える能筆家だ。Nさんに書いて貰い、できた俳句を鑑賞するという場面が脳裏に浮かんだ。そういえば働いているとき、書き初めなどを台紙に貼ってから張り出すと文字が綺麗に見える。赤い落款があれば、もっと文字が映える。と画用紙に貼る作業、消しゴムで名前を彫刻刀で彫り、名前の側に押す。児童に一連の作業を教えて作業したことがある。これだ!今回は落款を同じく消しゴムで「令和五年」ひらがなで「こあじろ」余った一つは、兎年なので、兎のような顔を彫って使って貰うことにした。本当は一人一人の名前を彫れば良いのだが時間がない。みんな同じ判でもよい。時と場所が入るから。と自分を納得させる。 半紙を台紙に糊貼りする技は久しぶりなので、練習の必要があり。Nさん家を訪ねて練習させて貰った。本格的な表装の技術ではなく、誰でもできる技として本格的表装の本を読んで筆者が考えたものだ。当日の場面が何度も夢に出てきていて重く考えて居ることが自分にも分る。 さて、当日、早く行かなくてはといつもより30分も早く家を出た。MTさんと集合時刻10分前に駅で会う約束をしたのに、三浦縦貫道から車がつながっている。こんなことは初めてだ。時間がドンドン経つ。20分遅れで、三崎口駅に到着。受付のスタッフはいてもMTさんの姿はない。スマホの調子が悪く持ってきていない。どうしよう!車を停めて構内をうろうろ!スタッフのMさんが先に集合の水道広場に行ったスタッフに聞いてくれて、MTさんが広場に既に到着していることを教えて貰った。やったー!大丈夫だ。早く行かなくては。駅前から出るときに少しのトラブルはあったが水道広場で、何とか全員揃うことができた。 MTさんは初夏の季語を印刷した小片を渡してくれた。「木の花は夏の季語なのよ。」
講師紹介をして、下書き用にメモパットを複数配って貰う。水休憩がヤナギテラス、エノキ広場を通過して、トイレをとおり、ペルルカフェで昼食の予定を説明する。MTさんには随時声を出して戴くことに。最後に一枚か複数枚を提出していただくことを話す。
若芽若葉に溢れた森の中はよい空気に包まれ、アサヒナカワトンボ、ヤマサナエ、越冬昆虫のツチイナゴ、ジャヤナギにヤナギルリハムシ、生まれたばかりのタンザワフキバッタは蕗の葉の上に。ミズキは花を咲かせ、ヤマツツジが華やかに崖地を飾る。ウラシマソウはもう花が終わり、メス株は花のなかにミドリの種をトウモロコシのようにならんでつけている。時々、小さいオス株を見つけ、ウラシマソウの性転換を教えて貰ったときのことを思い出す。オスの花の下の方から昆虫が足に花粉をつけて外へ抜け出て、メス株の中にはいるとの話は面白い。マルバウツギは白い花をつけ、枝全体が白く見え波のように見える。ハンノキの側に1日花をつけるキショウブが沢山の蕾を上に向けつけていた。ウグイスが、歩く私たちにBGMのように絶えず声を響かせてくれている。
ドドッと大きな音がして山の上の方から根っこごと、崩落した木の塊が見えた。通路側の出来事でなくてほっとした。
ヤナギテラスを過ぎ、アシの生い茂る湿地の中にはクレソンが白い花をつけていた。タコノアシを確かめに戻った場面も。エノキテラスではNPOのビブスをつけた方が、どうしてホタルの時期に夜間解放がないのかと訪れたかたに聞かれていた。筆者もききたいところだ。ハマダイコンの盛りは過ぎて小さい実がついている。ほんの少し、口に入れると爽やかな苦さ。うん!大根だ!
ペルルカフェではNさんと娘のMさんが既に待っていてくれた。それぞれ一枚か複数選んで貰い、Nさんに半紙で書いて貰い、台紙に糊と刷毛ではっていく。台紙と半紙のセットを参加者のSさんが手伝って下さる。半紙を裏返して台紙に糊を刷毛でつける。半紙をピンと張ってから刷毛で半紙の上からなぞっていく。しわにならないようにするのがプロの仕事。できたところで、令和五年とこあじろと兎の消しゴム判を会員のTさんが押してくれる。窓に綺麗に貼っていってくれている人がいる。特にお願いしなくてもやったら良いと言うことに体が自然に動く仲間は自慢してよい。途中で、お昼食べて下さいと表装の作業を交代してくれたスタッフにお願いして、全員の分が終了。できあがった俳句について、少し気がついたことを言い、恒例の感想を録音して終了。台紙に貼った俳句は家でのよい話の材料になるに違いない。そうはならなくてもきっと家でかざってくれるに違いない。その姿を想像すると企画が成功したのではないかと嬉しさがこみ上げてくる。 参加の皆さん、書を書いて下さったNさん、遅れた筆者にもかかわらず、皆さんに俳句の話をして下さったMTさん、良い天気で良い姿を見せてくれたこあじろの森へ感謝です。
天気や台紙貼りの作業で使わせて頂いた小パール隊の出口さんにも感謝です。
2023.5.4 記:宮本美織 書:仲澤イネ子 写真:T.Ishizuka、浪本晴美、Mari
ご参加の皆さまからコメントをいただきました
2023年3月11日(土)
晴れ
参加者6名
前回はエナビレッジでランチした後、江奈湾東岸を剣崎小学校まで歩いて、帰りのバスに乗った。今回、標高45mの福泉寺(注)から海辺の剣崎小学校まで、まっすぐ降りるルートをとりたかったからだ。
若い兵隊さんたちが特攻艇の訓練のため、どんな気持ちで通ったかを想像しながら、みんなで歩きたかった。
江奈湾に向かってほぼまっすぐに落ち込む谷からなるこの道は、今はなんとも長閑な畑道である。道に沿って、上昇する向き(湾に向かって)の地層が見える露頭が続いているのも面白い。
江奈湾沿いの車道に出て、湾の最奥部をめざす。潮が引いていて、泥干潟の様子がよくわかる。最奥部から枯れた葦の茂る浜に下りる。ここから踏み跡をたどって向こう岸に出ようというわけだ。中ほどに来て、うっかり踏み跡を見失い難渋!全くの藪漕ぎ状態となり小休止。ここで今回初参加の若き(?)男性Kさんが偵察を買って出てくれ、楽な道すじに導いてくれる。
湾の西岸を少し進んだところで、下見の時遭遇した、1m近くのアカウミガメの死骸の話をする。目をつつかれたようで、
まるで赤い涙を流して泣いているように見え、右後足に傷もおっていた。古代の洞窟遺跡に住む人たちは、こんな亀の甲羅や骨を大切に保存して、亀卜などに使ったのかしら〜。みんなで一緒に観察できればよかったけど、そのままにしておくわけにもいかず、観音崎自然博物館に連絡して、専門の研究者の役に立つように計らってもらった。
湾口に近づくと岩だらけになり、対岸の「高磯」が、その名の通りこちら側(西側湾口)より高いことがわかる。岩礁の岬を回りこむと景色は開け、城ケ島がみえ、毘沙門海岸に至る。ここからは上の台地に至る道(表参道)があり、少し登って毘沙門天にお詣りする。1月なら三浦七福神のひとつで、賑わっていたのだろうか。境内の石段を登って裏参道を行くと、台地の上に出て、江奈湾を見下ろす絶景を楽しむ。
ペコペコのみんなは、表参道を下り、もとの海岸に出て昼食。暑くも寒くもない海岸歩き日和。家族連れもタープを張ったりして、バーベキューを楽しんでいる。私たちはマッタリして、例によって、いろんなお菓子が行き交い、これで満腹してはならじと、自重する。
穏やかな砂浜をしばらく進むと、いよいよ今回のハイライト、毘沙門洞窟遺跡群がある。昔は県の設置した説明板があったそうだが今は無く、ぼんやりしていると通り過ぎてしまいそう。右手の岩肌に注意しながら進む。ここには西から東に、AからEまで5つの洞窟遺跡が並んでいるのだ。一番わかりやすく、到達しやすいのはB洞窟である。みんなで入ってみる。これまで行った大浦山洞窟遺跡や間口洞窟遺跡と違って、入口が大きく開放的で明るいので、安心して入ってみる気になる。ここが漁労の場だったり、生活の場だったり、お墓だったりして人間が使ってきた遺跡だったんだ。戦後すぐに赤星先生や地元の考古学者たちが発掘して貴重な発見をした場所だったんだ……と思いを巡らせる。 ところでほかの洞窟は?A洞窟はB洞窟のすぐ隣にあるのに、前からは見えない。見る角度を変えて発見!E洞窟は小さく、崩落が激しいので封鎖されているそうだ。あとはCとD。Bの右方向を探せばいいのだが、Bの右側は草木が茂って、傾斜も急で…ちょっとわからない。下見ではAとBしか確認できなかった。しかし凄い!昔のおてんば娘Nさんが、草木をひっつかんで登っていくではないか。そしてとうとうD洞窟を発見してしまった。私たちも、滑らないように気を付けながら、やっとのことでたどり着く。ふと左を見ると、今度はKさんが木の枝にへばりついて登っていく。C洞窟発見! 半ばあきらめていたのに、みんなで行って全部発見できた!!この興奮を考古学の勉強に、赤星直忠博士文化財資料館訪問(4月16日)に繋げようと、確と思う。
毘沙門湾東詰めから車道を登り、慈雲寺で休憩し、毘沙門バス停から帰途についた。
(注)第二次世界大戦末期の昭和20年、海軍の特攻艇「震洋」の基地が江奈湾に造られ、搭乗員53名、総勢183名が訓練に励んでいた。本部の置かれた福泉寺には、のちに隊員たちによって建てられた記念碑がある。
記:松原あかね 写真:浪本晴美 松原あかね
2023年4月2日(日)
参加者13名
YRP野比駅10時集合、目印にこあじろの森くらぶの旗を持ちお出迎え、ここからバスに乗り込みます。降りるバス停はYRPセンター、光の丘水辺公園はすぐそこです。公園の中に入り、来園者の数を数えていると説明をして皆で木箱に木札を入れてもらいました。ここには3つの池があります。公園入口近くは、「四季の池」北側に管理棟主に市が管理、次が鳥の観察が目的の「野鳥の池」、そして自然の姿を残す田んぼと池の「聖なる池」、ここは友の会のボランティアの方々が管理しています。花の開花に合わせて一般公開されている目指すニリンソウの群生地が「聖なる池」の奥にあります。 管理棟の前で集合の方とも無事合流、ちょうど案内をしてくださる友の会の代表をされている別府さんが来てくれたので参加者に紹介をして、園の中の植物の説明等案内をお願いしました。 整備された四季の池北側から歩き始め、野鳥観察用に設置されたのぞき穴を覗き見、この辺りから色々な植物が現れます、別府さんの説明を聞きながらさらに奥
「聖なる池」へ。友の会の方々がテーブルを出していて、ここで見られる植物の写真を見せて頂き、さらに奥のニリンソウ群生地へ。道が狭いので順番に谷筋を奥へと進み観察。周りを木々に囲まれ傾斜にはアスカイノデが生えていました。全員がニリンソウの観察を終えたところで、別府さんからこの公園の成り立ちを解かりやすく説明して頂きました。別府さんの話の中に「手を加えたのは池を作った事、土も元々あった物を使い、地下水を汲み上げ流している事、池の周りの森は手つかずのまま、池の周りは自然と植物が生えてきた事」多くの人達の知恵と努力と協力が実を結び今日に続いている事、また自然を維持する苦労を思うと感謝してしまいました。「別の場所にあるニリンソウ群落では、日陰を作っていた大きな木が倒れてしまい、これからどうなるか心配している」と別府さんは説明してくれました。写真を撮るには良いスポットですが、心配ですね。
帰り道は田んぼのあぜ道を進みます。アカガエルのオタマジャクシ、メダカ、など地元に生息していた生き物たちが今も田んぼで見られます。あぜ道にはツクシ、セキショウの花、タガラシの花、野鳥の池に戻り周りの谷で植物観察、そして四季の池へとたどり着きました。別府さんの説明に私を含めて参加者の方々が熱心に耳を傾けて興味深く聞かせて頂きました。その事を別府さんに伝えて皆でお礼の言葉をかけました。遅めの昼食を四季の池周辺で取り、かろうと山古墳跡の見学に出発です。
記 三本保子 写真 別府史郎 三本保子
午後の部 かろうと山古墳探訪
水辺公園でニリンソウを鑑賞し、その他にもたくさんの春の生き物に出会いました。友の会の別府さんから公園の成り立ちや、特徴についてたっぷりとお話も伺い、大満足で「四季の池」の畔でお弁当をいただきました。
さて午後の部、かろうと山古墳は水辺公園を東にやや下ったトンネルの上、海抜95mの山の上にあります。標高差65m、かなり急な山道です。参加者はぐっと減るだろうと思いきや、ほとんどの方が引き続き参加されたので、滑らないようにゆっくりと慎重に登っていきます。途中脱落者もなく、全員無事に山頂近くの説明板にたどり着き、ホッと一息。かろうと山古墳は、説明板がなかったら見過ごしてしまいそうな、小さくなだらかな墳丘状をしています。
横須賀考古学会編の『三浦半島考古学事典』や、赤星直忠博士の書かれた論文に出ていた図を引用して作った資料を配布し、要点を紹介しました。 ・三浦半島にはごく稀な、竪穴式石室(17枚の板状に磨かれた凝灰岩大切石からなる)を伴っており、古墳時代末のもの
・古墳の主は、三浦半島で最も有力な豪族であったと思われる。 ・石棺を埋めた墳丘自体は小規模なものに見えるが、この山そのものを墳丘と見立て、南側ふもとに展開する集落を見下ろしていたのではないか
・何度も盗掘されているが、底部敷石の間に鉄製品の錆が付着しており、金属製品が副葬されていたこと、その物と置かれた位置が推測される ・金銅製の釘、金銅装鑿(のみ)状鉄製品、金銅装弓弭(ゆはず)金具、刀子片などの遺物が出土
・被葬者は、頭を南に向け、太刀や弓矢を帯びていたようだが、工具の鑿が見つかるのは珍しい ・YRP(横須賀リサーチパーク)が開発されるとき、この古墳の重要性を考慮し、京急や横須賀市の努力によって山は崩されずに、トンネルを穿つことで遺跡は残った
参加者は、古代に思いをはせつつ、慎重に山を下りて、野比駅方面に歩いて向かう人と、林方面へバスで向かう人に別れて、帰路につきました。
記 松原あかね
光の丘水辺公園と水辺公園友の会
光の丘水辺公園は、“こあじろの森くらぶ”でも時々観察会等に訪問しており、良くご存じの方もおられますが、ここで紙面を一部いただき公園の特徴や開園までの経緯を簡単に説明します。
YRP野比駅からバスで5分ほど、YRP(横須賀リサーチパーク)の中に1999年4月に開園した横須賀市の都市公園の一つです。水辺公園友の会は2000年4月に結成されたボランティア団体で、公園設立の趣旨
“かってこの地域にあった里山の素晴らしい自然環境を再生し、後世に伝えること”を目的に公園管理者と協働して活動しています。
1.開発経緯
この地は「長沢」および「杉釜(すがま)」と呼ばれる、山は薪炭林、湿地にはハンゲショウやガマなどが繁茂し、ため池にはトウキョウサンショウウオが産卵し、水路や田んぼにはホタルが飛び交う自然豊かな谷戸と田畑からなる人里の風景でした。
ここに京浜急行を中心とするYRPを建設する計画が持ち上がり、「環境アセスメント」が実施され、1994年の環境アセスメントの答申「東京サンショウウオを保護する先進事例とすること他」を受けて開発がすすめられました。開発を具体化するにあたって、開発後の自然環境の再生の重要性から工事や動植物の専門家による「水辺公園整備委員会」を設け、専門家の意見や指導を受けながら工事が進められました。
●水辺公園整備委員会の委員は、前田慶之助(東海大教授)、宮脇昭(国際生態学センター)、柴田敏隆(三浦半島自然保護の会)、大場信義(日本ホタルの会)、亀井公(横須賀ホタルの会)、樋口弘(日本野鳥の会)、佐藤昌弘(京急電鉄梶j、広川宗生(新日本開発工業梶jの8名です。
2.工事(土地造成)方法
開発は、山を削り、その土砂で谷を埋めて平地を作るわけですが、杉釜の池周辺の湿地は神奈川県環境評価Aランクに位置付けられた貴重な環境で、これを土砂で埋めてしまうことになります。当時これに対するような代償(ミティゲーション)の例は他にはありませんでした。そこで、湿地の土をブロックにして切り出し、微生物や植物、昆虫など丸ごとひとまとめに造成した土地(聖なる池)に移植する方法を考え実施されました。
また谷戸を埋めて造成した土地であることから、池の下に防水シートを設置し、水を保持しています。 埋め立てにより地面が30mほど上がり、周りの山からの湧水は無くなるので、杉釜の池に石を投入してから土砂で埋め立て地下貯水場にして水をポンプで汲み上げ、一番奥(最奥の池)から流しています。この水は、雨水〜地下水〜地下貯水場〜ポンプ〜最奥の池〜聖なる池〜野鳥の池〜四季の池へと流れてから公園外部へ出ていきます。
3.管理の考えかた。
公園の平面部は「四季の池」、「野鳥の池」、「聖なる池」の3つのエリア(図参照)にゾーニングされ、ゾーンの目的に沿った管理運営がされています。
1) 「四季の池」エリア:公園の入口に位置し、「一般市民への供用」という目的のため常時市民が憩いリフレッシュできる場所とする。たえず来園者が往来する公園の辺縁部であることを念頭においた自然環境の再生と保全を行う。
2) 「野鳥の池」エリア:「四季の池」と「聖なる池」のバッファーゾーンとして環境を維持する。野鳥の越冬地を兼ねた自然環境を確保するため、秋から春にかけ利用を制限する。
3) 「聖なる池」エリア(「最奥の池」を含む):自然を再生し後世に残していく中核的なエリアで、動植物の聖域として自然環境の再生と保全を目指す。ニリンソウやハンゲショウの開花時など特定の期間に、また観察会などのイベント時に一般公開する。
5)外部から動植物を移植・移入する際は、絶滅危惧種か、三浦半島在来であるかを基に移植エリアを決めて行っています。
4.おわりに
外部からの移植無しで、アシやガマ、ハンゲショウやニリンソウなどの植物、トウキョウサンショウウオやアカガエル、シュレーゲルアオガエルの両生類は復活し、ホタルはいまだ自然発生はありませんが、ある意味もとの自然が見事に再生されていると考えています。開園から20数年が経過し、自然環境の再生維持からより多様性を広げることを考えて行きたいと思っています。
この公園は、平面部分が3haほどでさほど広くなく、高低差も無く、危険な個所もほとんど無いので、小さな子どもや体の不自由な方も訪れ、自然を楽しまれています。夏でも冬でも季節なりの自然を楽しむことができますが、中でも、四季の池のアサザ、ネムノキ、聖なる池のニリンソウ、ハンゲショウの咲く景色を一度は見ていただきたいと思います。
記 別府史朗(こあじろの森くらぶ、水辺公園友の会)
こあじろの森くらぶオリジナルカレンダー2024の画像を募集します
こあじろの森くらぶオリジナルカレンダーの2024年版をみんなで作りたいと思います。カレンダーに載せる画像を募集しています。応募された方には参加賞として、2024年版カレンダー(1部/人)をプレゼントします。ふるってご応募くださいますようお願いいたします。
応募資格:こあじろの森くらぶ会員とそのご家族、ご友人の方
募集要項
応募受付期間 |
: |
2023年7月1日から2023年9月30日まで |
応募作品 |
: |
2022年10月から2023年9月までに小網代の森で撮影した写真又はイラストで、他に発表されていない作品(季節感のある画像が採用されやすいです) 横長の画像で500KB以上のデジタルデータ(可能であればJPG) |
応募方法 |
: |
info@mori-club.comに、申し込みメールをお送りください。メールタイトルを「カレンダー申し込み」とし、メール本文に、お名前・ご住所を明記してください。こちらからご案内メールを返信させていただきます。 |
選 考 |
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2023年10月にリモートで選考会 発表:2023年11月下旬発行のこあじろの森くらぶ通信に掲載 |
お問合せ |
: |
info@mori-club.com(画像受付担当) |
こあじろの森くらぶ NEWS
スタッフの活動
2023.03.26(日) |
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通信第35号印刷 |
2023.04.02(日) |
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遠足 光の丘水辺公園ニリンソウ鑑賞会 |
2023.04.10(月) |
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スタッフ研修「変形菌を見つけようin光の丘水辺公園」 |
2023.04.12(水) |
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赤星直忠博士文化財資料館 打ち合わせ |
2023.04.16(日) |
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遠足 赤星直忠博士文化財資料館 |
2023.04.22(土) |
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第35回交流会下見 |
2023.04.23(日) |
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スタッフ会議(リモート) |
2023.04.29(土・祝) |
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第35回交流会「春は草花、木の花も」 スタッフ会議(於 小パール隊) |
2023.05.01(月) |
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第36回交流会(ホタル)お知らせハガキ投函 |
2023.05.15(月) |
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スタッフ会議(リモート) |
2023.05.20(土) |
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スタッフ研修「変形菌を見つけようin光の丘水辺公園」 |
2023.05.21(日) |
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スタッフ研修 海岸歩き |
ご寄付ありがとうございます
小泉寿賀子さま 浪本晴美さま 廣川ひで子さま 別府史朗さま
以上の皆さまにご寄付をいただきました。大切に使わせていただきます。
会員更新のお知らせとお願い
今年も会員更新の時期がやってまいりました。コロナの規制が取り払われて、気づいてみれば、くらぶの活動は今までとは異なる分野でのスキルを充実させていました。小網代の歴史を学ぶために地元の歴史を記憶されている方やお寺のご住職のお話を聞き、小冊子を発行。今年4月には古代からの三浦半島の歴史を知る上で欠かすことのできない、「赤星直忠博士文化財資料館」を訪問し、館長の釼持先生に講演をお願いできました。また、野外での変形菌、地衣類などの面白可愛い生きものの観察・研究なども進めています。こあじろの森くらぶはこれからも森の自然を心に掛け見守りつつ活動してまいります。今年もみんなで遊ぼう、学ぼう小網代の森くらぶです。今日まで森を見守ってくださった皆さまに、是非会員の継続をお願いいたします。本通信に振込み票を同封させていただきました。
年会費 1,000円(7月〜6月 入会金不要)
郵便振替 記号番号 00290-6-137203
加入者名 こあじろの森くらぶ
*恐れ入りますが、払込み料金をご負担ください
*新入会員のお申し込みも歓迎いたします
予告 「第8回こあじろの森くらぶ総会」 ご参加ください
第8回こあじろの森くらぶ総会の日程と会場が決まりましたのでお知らせします。
第二部では、通信にも写真をご提供下さっているT.Ishizukaさんの素晴らしい写真を目にする、夢見るようなひとときをご用意しています。第二部からのご参加も、会員以外の方のご参加も可能ですので、どうぞ万障お繰り合わせの上ご参加くださいませ。
日 時 :2023年8月27日(日)
会 場 :潮風スポーツ公園
参加資格:会員とそのご家族
第二部 :T.Ishizukaさんの写真ショー(仮題)
第36回交流会のお知らせ「ホタルを見にいこう!2023」
光の丘水辺公園ハンゲショウ群生地公開のお知らせ
光の丘水辺公園から今年もハンゲショウ群生地公開のお知らせが届いています。ぜひお出かけください。
期 間 |
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6月24日(土)〜7月2日(日) |
規制区域開放時間 |
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午前10時から午後3時まで |
光の丘水辺公園HP |
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https://www.ryokukazouen.jp/mizube/entry |
水辺公園管理事務所 |
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電話/FAX:046-849-7650
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スタッフ研修 変形菌を見つけようin光の丘水辺公園
光の丘水辺公園へ、変形菌を学びにいきましょう。スタッフ研修ですが、興味をお持ちの方はご参加が可能ですので、ご連絡ください。
日 時 |
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2023年6月5日(月)
(YRP野比駅からバスを利用する場合は9:48発 9:53YRPセンター着) |
お待ち合わせ |
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10:00光の丘水辺公園管理事務所前集合 |
持ち物 |
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長靴、虫眼鏡、お弁当、飲み物 |
連絡先 |
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メール info@mori-club.com(高橋) 電 話 046-889-0067(仲澤) |
* 予定は中止または変更になる場合がありますので、ご参加を希望される場合は必ずご連絡をお願いします *「変形菌を見つけようin水辺公園」は月1回程度実施する予定です。 |
スタッフ研修 海岸歩き 「城ヶ島」
良く知っているようで、新しい発見に満ち溢れた、三浦半島の海岸線。ちょっとハードな道もありますので、十分注意深く歩きたいと思います。興味をお持ちの方はご参加が可能ですので、下記連絡先までご連絡ください。
開催日 |
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2023年6月18日(日) 雨天の場合24日(土)に延期 |
お待ち合わせ |
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三崎口駅 10:00 |
連絡先 |
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担当・松原
メール post@mori-club.com
電 話 090-6016-0513(松原)
ご連絡いただいた方には、別途詳細をお知らせします |
●こあじろの森くらぶイベントにご参加いただけるのは、会員さまご本人とそのご家族、ご友人です。
●保険はありませんので、自己責任でのご参加をお願いいたします。