森くらぶHOME こあじろの森くらぶ通信バックナンバー お問い合わせ

 

第23回交流会サロン小網代 随想サロン小網代 紀行小網代を詩う三浦半島の植物こあじろの森くらぶNEWS
第24回交流会のお知らせ第25回交流会の予告

第23回交流会 「小網代の秋をみつけよう!」


開催日:2020年10月25日(日)快晴
参 加:18名

 なんといっても青空!  
        壁の地衣類に新しい出会い!
                アシの草梯子を探す目!
          落ち葉で綺麗を構成する感性!
                そして緊急事態に対応して下さった方々への大感謝!
 無風、快晴!これ以上ない上天気に恵まれた10月25日、駅前には会員さんとそのご友人やお知り合い11人、スタッフ7名(受付なども含みます。)が、懐かしい出会いのおしゃべりをしながら集合!
  進行役の案内で先ず、油壺行きバスに乗り、小網代のバス停で下車。近くの駐車場をお借りして、地衣類の簡単な説明を受け、漁港へ下って行きます。昨年の地衣類の学習をした時の成果を、Nさんがこあじろの森くらぶ通信に掲載。それを持って現場と照合しながら歩きます。周りの景色も入れてあるので、分かりやすい案内プリントとなりました。ルーペで確認しながら新しい未知の世界へ入り込みます。「こんな姿をしていたんだね。」「マツゲゴケのまつげが見えたよ!」

 漁港へついて、寄せる小波と早速、戯れもしましたが、ここで、最近、三浦半島の山々で気になる「ナラ枯れ」についてMさんからのレクチャー。独立行政法人「森林総合研究所」作成の図が入った資料が配布されてメカニズムが説明されました。漁港からは枯れた木々で茶色になった森の一部が見られました。
  カシノナガキクイムシと言う在来の甲虫が、生きている木に穴を掘り、その中にメスは産卵。メスの背中にいる病原のナラ菌(ラファエレラ菌)が幹の中で繁殖、水の通り道を塞いでしまうので、水不足で木が枯れる、と言うことでした。 昔は、古い大きい木は薪炭材などとして使われて来ていたのだが、今は放置されている。そこにナラ菌の蔓延があった。(独)森林総合研究所の配布している資料には公園などの大きい木は放置しないで伐採し、薪やストーブで利用し、若い林にすることが肝要とありました。 参考までに、この甲虫の生活を細かく調べた小林正秀さん(京都府林業試験場主任)が、「ブナ科樹木萎凋病いちょうびょうを媒介するカシノナガキクイムシ」として、「樹の中の虫の不思議な生活/穿孔性昆虫研究への招待」<東海大出版会>という出版物の中に報告しています。興味のある方は図書館の蔵書にあるかも知れませんので、是非、問い合わせてみて下さい。
 その後、会員で昆虫に詳しいMさんから森の通行止めの原因になったスズメバチについての話が詳しくありました。オオスズメバチよりもキイロスズメバチの方が凶暴なので、警戒の必要があること、匂いのするもの、黒い衣服、追い払う行為などは避けたいと言うことでした。ちなみにこの日、オオスズメバチの死骸を1匹、観察路で見つけました。生オオスズメバチを見たスタッフもおりました。
 次に秋を感じて貰いたいと、葉っぱで作った造形の例を見て貰いました。これはスタッフのTさんが以前、森で作った2作品で、2冊の本の表紙を飾っています。ここから森の入り口まで、綺麗な落ち葉を拾って歩きます。途中でトイレ休憩をとる方も。人とのデイスタンスをとることが望まれている昨今を踏まえてか、私たちの列は随分長くなっていました。
  カニ団地でアカテガニの冬眠準備の姿を、光を当てて覗いてみて確認!少し安心。宮前峠から満潮の小網代湾を左に見て、綺麗!と立ち止まり、眺望テラスでガマの穂を愛でて、えのきテラスへ。先頭組は昼ご飯が終わっています。遅い組を心配して、交代しようと進行役のMさんが戻ります。えのきテラスでは大勢の方が通過したと、物品販売をされているNPOの方が嬉しそうに話してくれました。オギの花穂が大きく揺れて銀の波のようです。イヌタデが一旦刈り取られてもう一度、生えて来ていて、ミニミニピンクの一角を作っています。モズの声が聞こえます。
 最後の方が到着、お弁当を開いているのを見た直ぐのことでした。急に具合が悪くなられた方がいて、特に厳しい状態ではないとは思いますが念のために、病院へ行って貰います。スタッフを森を進んでいくグループと、ここで援助するグループの二手に分けました。筆者は森を上がっていく方にまわりました。救急車に同乗するスタッフが一人、そこまでサポートするスタッフや参加者が4人。宮前峠まで漁港から救急車が入らない事を知っていた地元の方が軽トラを出して下さったと後で聞きました。NPOの方にもお世話になりました。

 参加者のKさんが先頭で歩いているのを呼び戻して、下見の時に気がついたアシの葉でできた草の梯子、タテシマノメイガという蛾の幼虫が作ったアシの筒巣を見て貰います。この奇妙なアシの葉が階段状に見えるものの正体は平成5年、県立自然保護センターの川村優子さんの研究で細かく分かりました。「幼虫がまだ若い頃に若い葉を糸で綴って縦の筒型の巣を作り、葉を食べて成長します。アシの葉は下の葉ほど、大きく成長する、だから綴られたアシの葉は、梯子状になるのです。」などと優子さんの研究を説明します。
  何とこの時、「川村さんは同級生で一緒にテニスをやったわよ。」と参加の会員の声。世界は狭い?でした。
  最年少参加者の小学2年生の可愛い男の子が一生懸命、散策路の両側にあるタテシマノメイガの直立巣を見つけてみんなに教えてくれました。
  やなぎテラスについて、いよいよ落ち葉の造形の時間です。ベージュ色のコルク面の額に綺麗な落ち葉を置いて何になるのかな?何に見えるかな?何を作ってみようかな?皆さん、葉っぱを置いたり、とったり、重ねたりの試行錯誤。この時間が最近の脳科学では脳に良い時間とされているようですね。参加者の額を覗いて、出来合いの目玉はいらんかね、とお勧めしたり、空間が大事だと言ってみたり、ボンドを配った立場で歩き回りました。
  できあがった作品と一緒に参加者のSさんとEさんに写真を撮って貰いました。撮影担当のスタッフはまだ、えのきテラスにいるようで、見当たりませんでしたので。どの作品も同じ物はなく、ハロウィンだったり、風車のようだったり、いろいろにとれる色と形。どれもバランスのとれた個性あふれる芸術でした。
  ここで作品発表会をすれば良かったのですが、陽が傾きはじめ、夕暮れの気配がしてきたので、まとめの会にしました。参加の感想を一人ひとりに言って頂きました。録音担当スタッフが録音して、テープ起こしスタッフにリレー。きっと通信担当がこの紙面に掲載してくれているはずです。皆さん、気持ちよく参加し、よく協力してくださいました。それが今日、スタッフ全員が一番嬉しかったことです。

  そうそう、具合の悪くなった方から「元気になりました。ご心配かけて済みません。外に出るときは「健康保険証」を携帯すると自分のように困ることはないですよ。」と伝言を頼まれました。スタッフ会議で「お薬手帳もあると良いかも」と言っている人も、いました。
 
参加者の皆さんのご協力、地元の方の応援、幾重にも感謝申し上げます。
2020/10/29 宮本記  写真:浪本、木皿、遠藤さん、桜井さん

 

 


資料1 地衣類

 

 


資料2 ナラ枯れ

「ナラ枯れ」現象について

 ここ数年まわりを見回すと、夏でも枯れている木の多さにびっくりする。ナラ枯れ(正式にはブナ科樹木萎凋病いちょうびょうと言う病気のせいらしい。
 小網代の森も例外ではない。県が昨年空撮で確認したところ、森の樹木の一割近い部分が茶色く枯れていることがわかったそうだ。200本の木に駆除薬を注入するのが精いっぱいだったというが、焼け石に水かもしれない。
 私たちもこの現象を正しく知り、何かできることはないかと真剣に考えなければならないだろう。ちょうど今、コロナウィルスと対峙しているように。
  ナラ枯れはその名の通り、ミズナラ、コナラ等の落葉広葉樹で特に集団的被害がみられる。正式名のブナ科では、ナラ、カシ、シイ、クリ等、ほとんど全ての属で枯死に至る被害がみられるが、ブナ属だけは水分量が多すぎることによって被害を免れるというのがおもしろい。
  元凶は、カシノナガキクイムシ(カシナガ)という甲虫が媒介するナラ菌(ラファエレラ菌)というカビ(糸状菌)で、これが大群で穿入するカシナガによって運び込まれ一気に蔓延し、健康な樹木が急激に枯死する。カシナガは効率の良い太い木の幹を畑にして、まるで農業を行うように幼虫の餌となるナラ菌を培養する。狙われた木はナラ菌の増殖を阻止しようとして、通水機能を止めてしまい枯死に至る。
  カシナガは在来の昆虫でナラ枯れも昔からあった現象であるが、昔は薪炭林として15〜20年で伐採されていた木が近年は放置され、カシナガの好む太い木が増え、被害が増大している。
日本海側に被害が多かったが、近年は1000メートル以上の高地を除き、ほぼ全国に被害が広がっている。

参考資料
『樹の中の虫の不思議な生活 穿孔性昆虫研究への招待』柴田叡弌・富樫一巳 編著
(独)森林総合研究所が公開しているナラ枯れのメカニズムを表した下図を参照して頂きたい。
文字が読みにくい方、更に詳細な情報を必要とする方は、(独)森林総合研究所のホームページをご参照ください。

ご参加の皆さまからコメントを寄せていただきました

 

 

 

サロン小網代

随 想

 

 

 

サロン小網代  舟塚山古墳から霞ヶ浦

2020.10.23 祖父川精治
 遥か遠い昔に築かれた巨大なお墓である古墳、たった1体を埋葬するのに小山のような塚を築いたのである。政治の中心である関西や大和でなく、なぜ霞ヶ浦の北端にこのような巨大な大古墳が必要だったのであろうか。後に、近くには常陸国国府や国分寺が、現在の石岡市内に置かれるようになる。
 舟塚山古墳は茨城県最大級の186メートルの前方後円墳で、築造は古墳時代中期5世紀と推定される。東日本に限っても第2位の広大さを誇る。因みに第1位は、群馬県太田市天神山古墳210メートル。我が国最大は、大阪府堺市の仁徳天皇陵と伝えられる大山「だいせん」古墳の486メートルである。世界の3大墓墳の一つに数えられている。
  古墳は4世紀から7世紀にかけて盛んに、地域を支配していた大王や豪族の墳墓として築造されていった。代表的なものでは、四角い方墳、丸い円墳、帆立貝式古墳、そして大型のものが多い前方後円墳などがある。
 上野駅から常磐線で1時間30分、土浦の2ツ先の高浜駅で下車する。
  広い駅前には、大きな観光案内板があり舟塚山古墳の位置を確認する。左折し、広い車道に出て常磐線の踏切を渡る。緩やかな坂道を上り、途中から左折し小さな神社を確認する。
 石碑が建つ鹿島神社脇から細道を登る。そこは舟塚山古墳上で、標高34.5メートルの3等三角点の標石を確認する。墳丘は、全長186メートル、前方部幅100メートル、後円部径90メートル、前方部高さ10メートル、後円部高11メートルの規模である。文字どおり3段構造の巨大な舟形をしている。
  近くには、双耳峰の筑波山が望まれ、南には広大な霞ヶ浦が鏡のように光っている景勝地である。周囲は水田が大きく広がり、サイクリングコースが整備されて粋な名の恋瀬川が流れて行く。高浜駅から徒歩約30分の距離である。
  大正10(1921)年、国指定史跡で大きな案内の看板が設置されている。霞ヶ浦の周辺には、数多くの古墳群がありその中でも最大級のものである。新治「にいはり」、行方「なめかた」、稲敷「いなしき」の3郡の地域を支配していた常陸国造りの始祖といわれる筑紫刀禰命の墳墓ではないかといわれている。舟塚山古墳の発掘調査はされてないが、周辺からは多数の刀剣が出土したという言伝えがある。
 踏切まで戻り、遠く緑濃い森に囲まれた高浜神社へ向かう。
 苔蒸した茅葺屋根に覆われた昔風の高浜神社、石岡市指定文化財。霞ヶ浦に面した高浜は常陸国の国府に近く、外港として栄えてきた。国司が常陸国内の鹿島、香取神宮などへ巡拝祈願する時は、この港から出立して行ったものである。昔から高浜の人達は、霞ヶ浦と呼ばないで高浜の海と呼んできた。
 石岡市で建てた標識版には、「常陸風土記」より抜粋した文章が表示されている。遠く霞のように広がる霞ヶ浦を望んで、物静かな高浜の町中を巡り歩き恋瀬川に架かる愛郷橋を往復する。
 霞ヶ浦は、我が国最大の琵琶湖に次ぐもので表面積は約4分の1、第2位の広さで、168.2キロ平方メートル。淡水と海水が混じり合う汽水湖。最大深度は7メートル。水位は海面と同じで0メートル。隣接して北浦は第15位で、広さ35キロ平方メートル。外海は太平洋の鹿島灘。霞ヶ浦の北側には、茨城空港がある。
 昔は、霞ヶ浦の各所には渡し船があり、土浦港からは定期船が就航していた。現在は、霞ヶ浦を巡る通年運航の観光船が人気である。また湖岸周辺には、名物の蓮田も広がっている。
 浦の意味は、海や湖の波静かな入り江とある。水面を渡る風を受け、大きな白い帆を張った「観光帆引き船」が復活している。最盛期には100隻以上が操業していたという。波穏やかな水面を滑るように進む帆引き船でバランスが難しい。高さ10メートル、幅20メートルの帆を掲げて舟を滑らせ水中の網を引く漁法。獲物は主にシラウオとワカサギである。

  土浦駅の近くにある食堂「ほたて」は、明治2年(1869)創業の老舗。からリと揚がったワカサギの天ぷら盛り合わせ定食が人気である。

 

 

 

小網代を詩う


小網代詩人、中井由実さんの第三詩集刊行予定
第二詩集から10年の時を経て2021年3月下旬頃発行の予定です。10年の間、変化を続けて来た森の様子、森と係る人々の想いと併せてお楽しみいただけるものとなるでしょう。 ;

 

 

三浦半島の植物


クロタネソウ(ニゲラ) 2009年7月

 

画 野内眞理子

 

 

 

 

こあじろの森くらぶ NEWS

スタッフの活動

2020.10.04(日)   通信No.23印刷(横須賀市立 市民活動サポートセンター)
2020.10.11(日)   第23回交流会 下見
下見後、スタッフ会議(ニナイテ フリースペース)
2020.10.18(日)   スタッフ会議(リモート) 20:00〜
2020.10.25(日)   第23回交流会「小網代の秋を感じよう!」
交流会終了後スタッフ会議(ニナイテ フリースペース)
2020.10.30(金)   スタッフ会議(リモート) 20:00〜
2020.11.08(日)   スタッフ会議(ニナイテ フリースペース)

 

 

第24回交流会のお知らせ


 小網代の谷の森と海。知っているようで知らない小網代のあれこれを地元の出口喜八郎さんにお話ししていただきます。 今回も三崎口駅前からバスを利用して小網代バス停で下車。漁港近くの会場へ向かいます。
開催日 2020年12月5日(土) *荒天の場合は中止します
お待ち合わせ 10:00三崎口駅前
会 費 400円(ソフトクリーム又はコーヒー付)
行 程 11:00会場でお話会 → 昼食後森散策 → 15:00頃散会(引橋)
持ち物 お弁当、飲み物、(筆記用具や虫めがね、図鑑・双眼鏡などお好みの観察グッズもあると楽しいと思います)
対 象 「こあじろの森くらぶ」会員とそのご家族、ご友人
必ずマスクの着用をお願いします。
保険はありませんので、ご参加は自己責任でお願いします。
新型コロナウイルスの感染状況により、中止・変更となる場合はHP、メールなどでお知らせします。またメール・電話によるお問合せも受け付けています。
お問合せ :info@mori-club.com(高橋) :046-889-0067(仲澤)

第24回交流会の後ご希望の方は、恒例の縁の会へ
 会場は昨年同様、三浦海岸伊豆島で17時から、会費4,000円。 ソーシャルディスタンスを保って会食の予定です。
また、リモート(Zoom)でのご参加も可能です(会費は無料ですが、お料理やお飲み物は各自でご用意ください。*メールアドレスが必須です)。
お申込みは11月30日までに、下記連絡先へお願いいたします。
お問合せ :info@mori-club.com(高橋) :046-889-0067(仲澤)

 

 

 

 

第25回交流会の予告


恒例の鳥見交流会、2021年も開催します。
開催日:2021年2月7日(日) *荒天の場合は中止します
集合時刻、コースなど詳細は後日ハガキでお知らせします。

 

 

 


https://www.pref.kanagawa.jp/docs/d2t/kankyo/p820028.html

 

Copyright(C)Koajiro Woods Club all rights reserved